評価:
夏梅 誠
日経BP社
¥ 1,890
(2008-06-19)
Amazonランキング:
1646位
ISBN-10: 4822283291
ISBN-13: 978-4822283292
「物質の究極的な構造は極小のひもである」「時空の次元は4次
元ではなく、実は10次元である」「無数の種類の素粒子が存在す
る」「最小の長さがある」。これらは超ひも理論に登場する一見信
じ難いような考え方である。
超ひも理論は、物質の究極の構造、ブラックホールの運命、宇宙
の開闢といった物理学の壮大かつ本質的な問題に解を与えるといわ
れる理論である。本書は、この問題に取り組む研究者たちがどうし
て上記のような突拍子もない考えに行き着いたのかを分かりやすく
解説してくれる。
超ひも理論について解説した本は多いが、本書の一番の特色は「超ひも理論によれば、こうなる」「こういう結果が得られる」といった論調ではなく、「なぜ、そうなるのか」という意味をじっくり考えることを中心としている点だ。超ひも理論といえどもこれま
でに積み上げられてきた科学の上に成立しているわけであり、これまでの科学の延長線上におくことで自然と理解できるものなのである。
光の偏光のように身近な観察や、「電球ではなぜ日焼けしないのか」といった素朴な疑問からスタートして、超ひも理論の基礎にある物理的な考え方を分かりやすく伝える。